センスも重要だが、それだけで作成すると完成度が低いのがロゴ

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商品の販売やサービスを提供する上でロゴは、重要ですね。例えば、欠けたリンゴのロゴを見れば、直ぐにAppleを思いつくようにそのロゴを見れば、商品、サービスそして会社までも連想されます。ロゴは看板と同じです。

ただ、このロゴマークは、自分で作成すると何か野暮ったくなってしまいます。ロゴを作るのにセンスはもちろん、重要ですが、それだけでは、なかなか完成度が高くならないのが、ロゴ作成の奥深いところです。関連...ロゴマークデザイン

そもそもロゴとは?

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では、そもそもロゴとは何でしょうか?似たような言葉にロゴタイプ、シンボルマーク、ロゴマークなどがありますが、これらは、それぞれ異なるものです。

先ず、ロゴタイプというのは、文字や文字列をデザイン化したもので、ブランドの名前や商品名、企業名や団体名の表示などに使用されます。このロゴタイプの略称がロゴです。シンボルマークは、企業や団体などを象徴するマークのことです。

こういう意味では、家紋もこれに該当します。ロゴタイプとシンボルマークが一緒になったものが、ロゴマークであるとも言われていますが、最近では、ロゴと言えば、シンボルマークとロゴマークの総称としても認識されています。

パターンもいろいろで、シンボルマークだけのものもあれば、ロゴタイプだけのものもあります。また、両方を組み合わせたものもあります。

ロゴはアートではない!

一般的に、他人の意見に左右されず、己の感性や直観の赴くままに、そして自分の手の動くままにキャンパスに向かって絵具と共にセンスを叩きつけることや、粘土で造形物作ること、ノミで木を削って彫刻を作るのがアートつまり芸術です。

しかし、ロゴはアートではありません。ロゴはデザインに分類され、そこには、しっかりとした論理やコンセプトそしてプロセスが存在します。もちろん、ロゴにセンスが必要ないということでは、ありません。ロゴにもセンスは必要です。

しかし、あまりにもセンスだけに頼ってロゴを作ってしまうと、ロゴを見た人の理解や共感を得られなくなってしまいます。

ロゴの作成にはしっかりと規則がある

ロゴは、アートのようにセンスや直観だけで作成するものでない以上、作成時には、しっかりと守るべき規則があります。いろいろなロゴがありますが、いくつか有名なものを思い浮かべてみてください。何か気付きませんか?ロゴの作りは、実にシンプルにできていることです。

これは、余計な要素を削ぎ落として、本当に伝えるのに必要な要素のみに絞ることです。これは、かなり高度な技術で簡単にできるというものではありません。文章なども短く簡単な文章で伝えたいことを書くのは難しいと言われています。

正に「Simple is the best.」です。言うまでもないことですが、ロゴは、わかりやすくないと意味がありません。作りがあまりにも凝りすぎている、逆に必要な要素までも削ぎ落してしまったことでわからなくなってしまうこともあります。

こうなってしまっては、ロゴとしての機能をはたしてくれません。また、ロゴは色があって当たり前とも考えてもいけません。モノクロの状態で表示されるということもあらかじめ想定しながら作成することも必要です。モノクロになったら何のロゴだかわからなくなってしまったということでも困ります。

プロの作成するロゴはどう違うか?

では、デザインのプロが作るロゴと素人が作るロゴはどう違うのでしょうか?タイトルにも書いたようにセンスも重要です。やはりプロは素人にはない卓越したセンスを持っています。

しかし、プロが違うのはセンスだけではありません。プロの作成するロゴは、そのロゴのコンセプトの把握から完成するまでにしっかりとしたプロセスを経ています。また、完成度を高めるためには、一定の知識と技術も必要とされます。

素人が、センスと思いつきだけで、知識も技術も持たずにロゴを作ってもプロには到底、及びません。では、以下に具体的にどう違うのかを見ていきましょう。

プロはロゴのコンセプトをしっかりと把握している。

プロはロゴのコンセプトをしっかりと把握しています。恐らく、素人は思いつきで作り出すことが多いので、何となく作ってしまうことが多いはずです。先ず、プロと素人が違うところはここではないでしょうか。プロは、ロゴの作成にあたっては、企業であれば理念、歴史、事業、商品、将来的な展望、ブランドなど事細かに調べて把握します。

作る前の準備段階からして既に差が出てしまっているわけです。ロゴには、いろいろな思いや物語が組み込まれているといってもいいです。

プロはタイポグラフィの知識を持っている。

情報を伝達するのに適したススペース、書体、大きさ、字と字の間隔、行間、行数の選定のみならず注目度、可読性、美しさなどへの配慮をすることをタイポグラフィといいます。これは、DTPの知識や経験がないとなかなか理解しがたいことなのですが、複数の文字が組み合わさったロゴでは余白や文字と文字との間隔は重要な問題になり、この知識が必要になってきます。

この知識がないままロゴを作ってしまうと色合いがよくても何となくバランスが悪く、見ても違和感があります。人間の目というのは、実に繊細にできていてこういうバランスの悪さというのは、気持ちが悪く感じるものです。

プロは視認性と再現性を考えて作っている。

あらゆる状況を想定して作られなければならないのがロゴです。ロゴは、何時も紙媒体のような平らなところばかりで表示されるとは限りません。丸いもの、おうとつがあるもの、あるいは、布などのように形状が変わるものに印刷がされることも十分に想定されます。

紙以外のものに印刷されたときに、ゆがんでしまって読めないというのでは、ロゴの意味がなくなってしまいます。「ロゴ作成にはしっかりと規則がある」のところでも書きましたので詳しくは書きませんが、必ず、カラーで表示されるという固定観念も危険です。

デジタルカメラで撮影してパソコンに取り込んでディスレイで表示した画像とそれを印刷した画像を比べると色合いが違って見えた経験はありませんか?これは、パソコンのディスプレイがRGBという色の表現方法を使っているのに対して、プリンターはCMYKという表現方法を使っていることによって起こる差異です。

パソコンやスマートフォンが普及した今の時代には、このRGBとCMYKの差異は要注意です。

ロゴ作成時の色の表示方法は、RGBではなくCMYKで作成するようにしておきます。うっかり、RGBのままで作成して印刷したら、印象が全く違っていたとなると、折角、完成までたどりついても作り直しという羽目になってしまいます。

この色の表示方法の違いは印刷では基本的な知識ですが、プロはこの違いを理解してロゴを作ります。

たかがロゴ、されどロゴ

ロゴなど誰が作っても同じように完成度が高いものができると思ったら大間違いです。簡単な図柄と簡単な文字の組み合わせではありますが、そこには、作った人のセンスの他にもいろいろな知識や技術そして細心の注意、そして、そのロゴを使う人たちのコンセプトや理念、歴史などさまざまなものが凝縮されています。

「たかがロゴ、されどロゴ」です。